児童館で、公園で、“おもちゃの貸し借りができない” “お友達のおもちゃをとってしまう”。
どうして?
小さなお子様を持つ親御さんからよく聞く悩み事のひとつに「どうぞができません」というのがあります。
それと同時に「お友達のものをとってしまいます」という悩みもよく聞かれます。
公園や児童館など、同じくらいの年齢の子どもが集まる場所では、親としてはどちらも悩ましい行動のひとつです。
乱暴な子ども、しつけがなってない、など冷たい目で見られることも・・・
そこで今回は「なぜ、子どもが貸し借りをうまくできないのか」を発達の面から見ていきたいと思います。

私たち大人が、子どもの物の貸し借りついて理解するには「年齢と、他人との境界線」「占有する心」「心の満足度」について知る必要があります。

◆年齢と、他人との境界線

物の貸し借りを円滑にするためには「自分と他人の境界線」がはっきりしていることが重要になってきます。
加えて「他者の気持ちを理解する能力」も必要になってきます。
これらは“心の理論”といっておおよそ4歳頃から身につくと言われています。自分が世界の中心にいる子どもたちは、自分の好きなものは他人も好きであり、他者との境界線もあいまいです。他者の視点から物事をみることもできません。つまり目についたものは自分のものだと思ってしまうんです。まだ心の理論が発達していないと言えます。貸し借りの概念が育つのもまだ先。
だから、まずは「わが子は乱暴だ」「人の物ばかり欲しがってわがままだ」と思わなくても大丈夫です。

◆占有する心

物の貸し借りによるぶつかり合いは「所有」よりも「占有」の気持ちによって発生すると考えられます。

占有したいという要求がぶつかるのは生後5、6か月頃から。

そして、誰が占有するのかを決める要因として挙げられるのは「順位性」です。つまり先に使っていた人が占有するといったルールです。このルールは3歳頃まで見られます。児童館などのおもちゃなどをイメージしていただくとわかりやすいですね。

◆「自分のもの」と「みんなのもの」

しかし、保育園などに通うこどもの場合、「自分のもの」と「みんなのもの」というのを告げた場合、「自分のもの」と告げられた子どもよりも「みんなのもの」と告げられた方が、共有する割合が高くなることがわかっています。

この場合、「みんなのものは独り占めしない」というルールを学んでいる可能性がありますが、注意したいことがあります。
それは、このルールによって「みんなもの=自分は手放す」といった動きだけを実践しているだけということがあるということです。動きを実践しているだけとは「みんなのものとは何か」という理解とともに「共有しよう」という気持ちが育っているわけではなかったり、また、満足して譲っている子どもばかりではないこということです。

集団活動を円滑に行う上では、致し方ないのかもしれませんが、、、

だからこそ、家庭では次のことに気を付けたいと思います。

◆心の満足について知る

私たち大人が気をつけなければならないのは「みんなのものだから、譲る。」という大人社会のルールを子どもに強要していないかということ。

モンテッソーリ教育では、先に使っていた人が後からきた人に“譲る”ことを強要しません。なぜなら、先に使っていた(る)人は、今まさに自分自身の中で試行錯誤しながら玩具を触り、何度も同じ動きを繰り返すことで自らの体や気持ちのコントロールを学んでいる途中だからです。

人というのは満足すると切り上げることができます。満足する前にその集中を途切れさせてしまうことは不満につながり、せっかくのやり遂げるといった体験を奪うことに繋がってしまいます。

この場合、あとから来た人には「待つ」ように伝えます。

待ってもらって満足した子どもは、次には自分が待つことができるようになります。そうして、尊重され尊重することも覚えていきます。

◆最後に。私たち大人同士は…

わが子が「貸して」と言われても「どうぞ」ができないときには、子どもが使い終わったら貸せるかを確認したうえで「今使っているから、使い終わるまで待ってね」と伝えたり、「貸してほしいんだよね。」と共感したうえで、「でも今日は貸せないんだって」と伝えます。

子ども同士で、これらのことを言葉で伝えるようにサポートするのも良いでしょう。

また逆に貸してもらえないときも、相手の子どもに同じことがいえると覚えておきましょう。