【子供の可能性】行動と要望の関係
以前、ブログに書きましたが、私は現在論理的に考えるための手法(ツール)を勉強しています。
このツールの中に「意見の対立を解決する」というものがあります。
・その内容はコチラ➡https://child-planet.com/page/6/
これを使うことで得られる効果は「対立を解決する」という目に見える結果だけではなく、もっと大きなものがあると考えています。
そのもっと大きなものとは、子供が納得した上で自分の行動をコントロールできるようになる、というものです。
(行動のコントロールとは、無理やり我慢する、というその場かぎりのものではありません)
その考えの裏付けとなった、とある一冊の本について紹介し、論理思考の手法にも触れたいと思います。
この本により、
自分のとっている「行動」のもととなっている’脳の仕組’を知ったうえで、
論理的に考える習慣をつけることにより、
子供も大人もより良く生きていけるのではないかと考えます。
◆「スタンフォードの人生を変える教室(※1)第5章 脳が大きなウソをつく」による行動の源と、満足について
人間が、人間たるもとを形成しているのは「脳」です。
「スタンフォードの人生を変える教室」に書いてあった脳への理解が、論理思考の持つ重要性を裏付けしています。
◆「スタンフォードの人生を変える教室 第5章 脳が大きなウソをつく」の要約
この章には、行動を起こさせる脳の仕組について書いてあります。
- 行動を起こさせるのは「脳の報酬システム」である。
- 脳の報酬システムとは、脳が報酬が手に入りそうだと認識するとドーパミンという物質を放出することである。
- ドーパミンが脳全体に指令を出して欲しいものを手に入れようとする
- ドーパミンがいっきに放出されたときに感じるのは幸福感ではなく興奮
- この興奮を感じることにより、神経が研ぎ澄まされ、欲望で頭がいっぱいになる
- 快感が得られそうな予感がして、そのためなら何でもしようという気になる。そのため「追求」「欲求」「欲望」などの呼び名もつけられてきた。
- しかし、明らかになっていることは、ドーパミンによって「好ましさ」「満足」は感じられないということである
- 「行動する」ということと、「満足を得る」という脳内物質は別物である。
- ドーパミンの作用としては、「期待」が生まれる半面、ストレスホルモンの放出も引き起こす。
つまり、私たちは
“欲望にかられて行動し、その行動により目的が達せられ、満足する“と思っていますが、
“行動することと満足することは別物”
ということなのです。また、
“ワクワクするのは欲しいものがあるためであり、ストレスを感じるのはそれが手に入らないから“だと思ってしまうが、
実際は“ワクワクすると同時にストレスも感じている”のです。
◆行動することと満足することが別物である例
行動を起こすもとになる「報酬システム」。
わかりやすい実験として、映画館のポップコーンの話があります。
甘い香りに誘われて「おいしいはずだ」と期待して買ったポップコーン。
それは何日も前に作られたものでした。
しかし、不味いと思いながらも誰も文句も言わず食べ続けました。
これはドーパミンのせいです。
手に入れると楽しい気分になれると信じている、そのために食べ続けたのです。
また、インターネットもわかりやすい例です。
メールが届いているかも、という期待でクリックし続ける。
テレビゲームもドーパミンを放出させます。しかし、ゲームをやり続けても満足はしません。次へ次へと駆り立てるだけなのです。
これらの行動自体は、決して幸せをもたらしてはいません。
ここまで読むと「これをやりたい!」と思い行動しても必ずしも望んだ喜びが手にはいるわけではないことがわかります。
さて、ここからは、これまでの話を踏まえて論理思考の重要性を書きたいと思います。
◆論理思考とは
以前紹介した論理思考ツールの例で、こういうものがありました。
- 「考える力をつける3つの道具(※2)」という本から抜粋。
4才の女の子が金魚がほしくて駄々をこねている。しかしお母さんはダメだという。
この「金魚がほしくて駄々をこねている」という行動の裏にある要望は「金魚を見ていたい」というものでした。
結果的には
「金魚がほしい(金魚がみたい要望)」も「お母さんがダメという(世話をしたくない要望)」も、どちらの要望も満たし
「幼稚園帰りに毎日お店で金魚を見て帰る」という結論を4才児が導き出しました。
この話で解説すると、
要望としては「金魚を見ていたい」のであり「金魚を手にいれたい」わけではなかったのです。
つまり、行動=要望であるというわけではないのです。
◆論理思考の重要性
論理的に考えることは2つの素晴らしいことがあります。
1.自分で考え、どのような行動をとるかの答えを出せること。
2.要望に気づきそれを満たす行動を考えられること。つまり衝動的な行動をなくすることができる。
(すでに書いたように報酬システムによる”これがやりたい!ほしい!”と言う気持ちが先行した行動だと、やってもやっても満たされず終わらない可能性がある)
子供は、すぐにこれが欲しい!となってしまい我慢がきかなくなります。
しかし手に入れると、すぐにいらなくなります。
それは、その行動が本当の要望を満たすことにはつながっていないからです。
本当の要望を見つけ、それにそった行動を考える。論理的に考えるということは、子供の自制心を育て、自信も育てることになると思います。
これからも私は子供の論理思考を育むための取り組みを続けていくつもりです。
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(※1)スタンフォードの人生を変える教室 2012年発行 ケリー・マクゴニカル
(※2)考える力をつける3つの道具 2014年発行 岸良裕司