【人生】9歳、10歳の壁とは?
以前、3歳児神話に関する記事を書きました。
3歳児神話を謳った幼児教育の根拠とは【脳の90パーセントが完成する3歳までに多くの刺激を与えて発達を促さなければ、それ以降は脳の著しい発達は見られない】ということです。
そして、それに対してその効果については、本当はよくわかっていないのではないか、という内容をブログにしました。
同じく年齢でいうと「9歳、10歳の壁」という言葉をよく聞きます。今日はこのことについて書きたいと思います。
◆9歳、10歳の壁とは何のこと?
9歳、10歳の壁とは、この年齢までに勉強しなければ手遅れだという意味で使われています。
小学4年生になると国語の長文読解や算数でつまづく子どもが多いことから、特に「10歳の壁」と言われているようです。
◆根拠はある?
これに対して発達心理学の観点から解説している本があります。
- 渡辺弥生【子どもの「10歳の壁」とは何か?乗りこえるための発達心理学】
ここでは次のことが強調されています。
「9歳までに脳の中にある人間行動のプログラミングセンターである前頭連合野の大部分が出来上がる。そのために、脳へ刺激を与えてシナプスを増やして神経回路を密にすることが大切」
という書物が散見されることについて、
「シナプスが多く神経回路が密なことと脳の機能が発達することの証明はなされていない」と説明しています。
また、シナプスが20歳くらいまで増え続ける部位もあると書かれています。
つまり9歳10歳を特別な年齢として取り挙げていても、脳科学と発達の間に整合性のとれた根拠は今のところないということです。
◆では、なぜ9歳10歳の壁と言われるのか?
もともとは聴覚障害にかかわる教育現場で9歳レベルの峠という言葉が使われてきたようです。
(なぜ壁と言われるようになったかはわからない)
それは聴覚情報が少ないことが、この年齢になると知覚、想像、思考面に影響を与えることからそう言われてきたという背景があります。
しかし、その時にあった経験や教育することで壁ではなくなると書かれています。
それが飛躍して「この年齢までに勉強しないと手遅れになる」と、言われるようになったようです。
◆それでは9歳、10歳とはどんな年齢か
まとめると・・・
- 【自分】他人の気持ちや考えを想像できるようになる
- 【考える力】主体的な自分と客観視できる自分、時間の軸の中での今の自分と未来の自分などものごとを相対化するという高次の認識が可能になる
- 【感情】感情を対象化して考えられ、それを文章や会話の中で表現できるようになる
- 【友達】友達との友情が強くなる。友達のためになんとかしたいという思いやりが強くなる一方で友達の目がすごく気になる
- 【道徳性】自分と親しい人だけでなく第三者や集団、社会の視点も理解できる
世の中に溢れている情報に惑わされてはいけないと言っても、真実を知るのは難しいです。
正しいかどうかわからなくても情報を鵜のみにはせず、自分で判断していかないといけないと思います。