「共感が脳を育てる」っていうけど・・・

「ほめるのではなく共感しましょう」「共感が大事」と、あちこちで見かけるようになった子どもに対する「共感しよう」の文言。でも泣きわめく子どもに共感するってなかなか難しいもの。さらに共感できないこともたくさんある。私ってダメな親・・・?

■「共感」がしんどい理由

 共感、と聞くとどのような対応をイメージしますか?「そうだよね、いやだよね」という相手の立場に立った言葉が思いつくのではないでしょうか。だけど、「お母さん、買って買って買ってーー!!!!」「まだ帰りたくないーーー!!!」「いや!」「きらい!」「バカ・・!!」・・え?共感なんてできなくない?と思うこともありますよね。そう、私たちの持つイメージでは「共感=肯定」になっていることが多々あります。だから子どもの癇癪や使ってほしくない言葉などに対して、どうすれば良いかわからなくなるのです。だって「肯定」なんてできないもの。

■こんなやり方はどう?

どのように子どもに共感すれば良いかわからない、という方にむけて「相手の言葉にオウム返しするだけでOK」というやり方を教えている人もいます。子どもが「野菜はイヤ!」というと「そうだね、野菜はいやだね」とか、「あの子が意地悪するから遊びたくない!嫌い」と言ったら「遊びたくないんだね、嫌いなんだね」、という感じです。これも一つのやり方であり受け止めにもなります。しかし、危険もはらんでいます。日本語の場合「私は〇〇だ」という話し方をしますが、〇〇には感情が入ることが多いです。オウム返しをすると、〇〇が負の感情である場合に、その感情を増幅させることになってしまいます。ですので、単純なオウム返しはおススメできません。

私の娘が「△△ちゃんが無視した!もう嫌だ!」と言ってきたことがあります。私は娘の言いたいことはわかりましたが、どのように答えるか考えました。そこで「無言の承認」を使うことにしました。目を見て何も言わずに首を縦に振ります。その行動は相手を肯定も否定もせず「うん。あなたの言葉を受け取ったよ」ということを意味します。小学校低学年くらいまでであれば、こちらのアドバイスなどを求めているわけではなく、とにかく感情を出したいということの方が多いので、私はこの方法をよく使います。

ちなみに、人間が不要としていることの中に「求めていないアドバイス」というのがありますので、気を付けたいところです。

■相手が「共感された」と感じたかどうか

共感は、こちらが「共感したぞ」と思うよりも、相手が「共感してもらった」と思う方が重要です。その方法は必ずしも「肯定」である必要はありません。自分の意志が尊重されたと思えれば、十分な共感になると思います。肯定できないようなことである場合、聞き手となるこちら側にも心理的な負担がかかってきます。ですので目を見て無言でほほ笑んでみてください。

「何か言ってよ!」と言われたら「今の話、しっかり聞いたよ。お母さんの意見を言ってほしいの?」と返してみましょう。

■すべてはコミュニケーション

子どもは小さければ小さいほど、感情を出して相手にぶつかりながらコミュニケーションを覚えていきます。強く当たれば強く跳ね返り、優しくあたると優しく返ってくる。これは大人でも同じですね。大人は子どもを見ながら、自分が求められていないアドバイスをしていないか、自分を見つめなおすことができると思います。