【モンテッソーリ教育】メソッド化された教育の注意点

モンテッソーリ教育は、日本では藤井棋士の活躍で注目されていますが世界の著名人の功績からも、これを取り入れたいと考える親御さんは多くいらっしゃいます。

特に未就学児への教育として端緒を開いたこともあり、早期教育や幼稚園、小学校受験に用いられることもあります。

これはモンテッソーリ教育がメソッド化され取入れやすいということや、モンテッソーリ教育が育む子どもの姿に共感する人が多いからであると思います。

そこで今日は、モンテッソーリ教育普及の要因のひとつであるメソッド化の裏にある問題について書いてみようと思います。

◆モンテッソーリ教育の目的

モンテッソーリ教育には目的論がない、と批判されてきましたが、マリア・モンテッソーリは「人格の完成」「理想社会の建設」をその目的としています。

ここでは人格の完成について説明します。

「いま、その子どもが発達において必要とする環境を整えることで、自然に興味をひき、集中して取り組む」状態を作り出すことが、主たる方法です。

この”集中して取り組む”ことが、子どもの成長にどういった効果を生むかが結果として出ていることも特徴です。

その特徴としては、

・自立しており、

・物事に好奇心をもって取りくみ

・取り組むことには失敗しながらもやり遂げ

・周囲に優しく、

・先を読む力、論理思考に長けている

といったことがあげられます。

子どもは「やりたいことを見つけ、自由に取り組み満足したあとは、情緒が安定し他人にも優しく」なります。

このような人格形成が、モンテッソーリ教育のひとつの目標となっています。

◆メソッド化の注意点

モンテッソーリ教育では、子どものために環境を整えることのひとつとして「教具(使用目的のある道具)」を準備します。

そして、それ以外に「子どもがひとりで日常生活出来る」ように、子どもサイズのものを準備します。

上記の「教具」を使った活動において、モンテッソーリ園やモンテッソーリ教室で子どもが自由に育つことを阻む危険因子があると感じています。

それは【親の期待】です。

いろいろな園や教室に見学に行くと、教具で集中した作業を行う我が子を見たいがために、やきもきしている親を見かけます。

「ほら、これやってみて」

「よく見て。集中して」などなど・・

それによって、子どもが次のことを気にするようになります。

・教具を使えば親が喜ぶ

・やりたい作業ではなく、できる作業を選ぶ

・その時間だけ我慢して過ごそう

これでは集中どころか苦痛な時間となってしまいます。

そこには、この教育がもつ目的ではなく、目に見える結果のみを求める親の姿があります。

モンテッソーリ教育は、子どもひとりひとりの発達を観察しながらその子にあった環境を準備します。

しかし、メソッド化されていることから「教具を使って集中現象が起こる」ことのみを期待するとしたら、その目的とは真逆の「親のために」その時間を過ごすだけの事態に陥ってしまうと思うのです。

なぜそれを我が子に与えたいのかを、親はよく考え勉強する必要があると感じています。