【本の紹介】モンテッソーリ教育(理論と実践)
今日からしばらく本の紹介をしていきたいと思います。
いま私が読んでいる「現代に生きるマリア・モンテッソーリの教育思想と実践」の内容を紹介します。
これは11名の教育者、研究者による共著であり、モンテッソーリ教育を思想、歴史、社会的、実践から捉えて纏められています。
よくモンテッソーリ教育は「早期知的教育だ」と言われます。
しかし単なる「早期」教育ではなく、こどもが生まれ持った「自己開発力」をいかに支援するか、考え抜かれた教育だとわかると思います。
今日はまず1章を紹介します。
◆KTC中央出版
現代に生きるマリア・モンテッソーリの教育思想と実践~空想的想像力から科学的創造力へ~
第1章 改革者としてのモンテッソーリと近年における世界のモンテッソーリ教育(早田由美子)(⬅今日のブログ)
第2章 モンテッソーリ教育の内容・方法の概容と今日の実践が引き継ぐもの(森下京子)
第3章 モンテッソーリ教育の普及と逆境、そして発展-経験主義、ファシズムに抗し、宇宙的視野で生命を尊ぶ子らを育てる-(野原由利子)
第4章 モンテッソーリ教育における自己表現活動の特徴
1 モンテッソーリ教育における自己表現活動の理論と特徴(島田美城)
2モンテッソーリ教育における音楽教育の内容・方法とその発展(藤尾かの子)
3モンテッソーリの幼児の音・音楽活動の実践例-横浜・モンテッソーリ幼稚園の取り組み-(島田美城)
4モンテッソーリの美術教育の内容(奥山清子)
5モンテッソーリの幼児のアート活動の実践例(村田尚子)
第5章 モンテッソーリ障がい児教育の理論と実践-保育の中の療育-(木下めぐみ)
第6章 モンテッソーリ教育リバイバルから半世紀を経て見えてきたこと(相良敬子)
第7章 モンテッソーリ教育の遺産と課題
**
第1章 改革者としてのモンテッソーリと近年における世界のモンテッソーリ教育(内容纏め)
- マリア・モンテッソーリはこどもを観察し、教育法を確立させていく。
(内容)イタリアで初めての女性医師となりローマスラム街で「こどもの家」を設立。ここでこどもを観察することで「こどもの自主性」を生かした療育を行う。この活動の成果「モンテッソーリメソッド」が刊行され、モンテッソーリ教育が広がっていく。
- モンテッソーリは改革者であった。
(内容)
・女性の地位向上と、男性を”業績”評価の価値から解放され自己に打ち克つ見方を示す。
・家庭環境と学業成績の相関を研究し就学前のこどもが貧富の差に関わらず同じスタートをきる方法を示した。
・知的障がい児教育から「教具」使用の基礎を築いた。
・「注意力の集中」(数千年もの間気づかれないままであった)を発見する。
・こどもは自ら伸びるという「自己教育」と、「秩序の敏感期」を発見する。
・マハトマガンジーとの出会いにより「平和はこどもからはじまる」を唱える。
・教育における手作業、手仕事、手工業の意義を高めた。
・宇宙における位置を認識
- 世界のモンテッソーリ教育の現状
(内容)
・「好きなことを好きなだけする」という点において芸術にも適用される。
・ヨーロッパではジプシーのこどもへの教育、シュタイナー(人智学)、レッジョエミリア市の幼児教育同様ホリスティックな教育としての位置付け、畑や自然に関するもの、魂をケアする、など。
***
この章では、マリア・モンテッソーリが「こどもを観察」することで、モンテッソーリ教育の基礎となる「教具」「敏感期」の発見と、「こどもの意欲を尊重する」ことが最大の重要事項であることがわかりました。
「早期知的教育」や「受験のための教育」と捉えられることもありますが、本来はとことんこどもに向き合い、こども自ら伸びる力を支える教育なのです。